女性法曹交流会 開催のご案内

    本会は10年以上前から当会が中心となり、人権大会開催の各地で裁判官や検察官、 弁護士、学者など女性法曹の交流の会として、開催して参りましたが、4年前から日 弁連の公式行事となり、共催の形で開催しております。昨年よりコロナ禍のためオン ライン開催、残念ながら今年度もオンラインにて開催します。昨年は、オンライン故 の便利さからか、北は北海道から海外まで 『普段接点のない様々な方々から興味深 いお話を伺えた』と大好評でした。 今年の記念講演では、国連女性差別撤廃委員会委員長を務められ、当会の元副会長 でもいらっしゃる林陽子会員から、英国女性法曹100周年ビデオのご紹介も頂きつつ お話を伺います他、女性の学者会員の方々から当会のご紹介も行います。 全国の会員と楽しい一夜を過ごしませんか? ◆2022年2月21日(月)18時~20時 ◆Zoomを利用したオンライン開催 ◆参加費無料・事前申込制 ◆参加対象 会員(女性を中心に先着100名程度) ◆内容 1 記念講演「女性弁護士の未来――権利擁護の担い手として」   講師:林 陽子 弁護士(第二東京弁護士会・女法協元副会長)   英国の女性法曹100周年(First 100 Years)のビデオをご紹介します。 2 日本女性法律家協会活動報告   「70周年をこえて、更に共生の未来へ」 3 日弁連女性副会長・事務総長による活動紹介 4 オンライン交流パーティー   ブレイクアウトルームによる、少人数での気軽な交流を企画しています。   飲物・軽食など自由にご準備ください。 ◆申込フォーム(期限:2月14日) https://form.qooker.jp/Q/auto/ja/womenkoryu/0221/ ◆主催 日本弁護士連合会・日本女性法律家協会 第4回女性弁護士交流Partyチラシ

他団体との交流 2010年9月から2011年2月まで

2011年3月8日 国際婦人年日本大会の決議を実現するための連絡会(国際婦人年連絡会) この会は、1975年の国際婦人年を契機に、国連の提唱する「平等・開発・平和」の実現に向け、日本の女性団体が思想・心情や活動分野の違いを超えて結集して開催された「国際婦人年日本大会」において採択された決議実現のため、引き続き連帯し、行動しようと結成され、1998年には国連経済社会理事会の諮問的地位を持つNGOとして特別協議資格が認められており、その後の世界女性会議には政府代表顧問として会からの代表が参加している。 世話人は、平松昌子、江尻美穂子、橋本葉子の三氏、事務局長は山口みつ子氏であり、2010年度加盟団体は正式には38である(が、実行委員などを選出している団体は29に留まっている)。当協会は当初からの加盟団体である。 2010年は連絡会設立から35年にあたり、5年毎に開催される日本大会を12月4日、千鳥が渕にある科学技術館のサイエンスホールで開催した。来賓として岡崎トミ子男女共同参画担当大臣が祝辞を述べたが、2011年1月に発足する国連の新しい組織UN Womenの事務局長に就任予定のバッチェレさん(元チリ大統領)から格調高いメッセージがよせられたのは非常に印象的であった。世話人の橋本洋子さんが基調報告において、前回2005年大会以降の活動とその成果、そして、次回2015年までの行動目標、ジェンダーギャップ解消、平和維持、環境政策への提言、医療・福祉問題の研究・提言、国際活動を説明した。大会テーマは「ジェンダーギャップ解消への挑戦」と「貧困・格差のない平和な社会を」の2つで、午前と午後に、パネルディスカッションが実施された。「ジェンダーギャップ解消への挑戦」のパネリストは大沢真理さん(東京大学)、鹿嶋敬さん(実践女子大学)、紙谷で、司会は鶴田敦子さん(家庭科教育研究者連盟・聖心女子大学)、「貧困・格差のない平和な社会を」のパネリストは雨宮処凛さん(反貧困ネットワーク副代表・作家)、唐鎌直義さん、湯澤直美さん(立教大学)、司会は清水澄子さん(I女性会議共同代表)であった。最後に、女性に対するあらゆる形態の差別撤廃条約(CEDAW)に関して個人通報を可能にする選択議定書の早期批准、男女平等共同参画社会形成の方策としてポジティヴ・アクションの制度化、男女雇用機会均等法の抜本的改正、家族法に関する民法改正、UN Womenに対する全面的協力、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントの国内での実現等17の決議、さらに大会テーマに即した「ジェンダーギャップを解消し男女平等参画社会形成」と「貧困・格差をなくし、平和で平等な男女共同参画社会」をめざす特別決議を採択し、閉会した。サイエンスホールが常時ほぼ満員でパネル展示のある廊下にも人が溢れていたので、恐らく500名程度の参加者があったと思われる。なお、当協会はパネル展示においても参加し、ポスターを掲示し、法律相談のパンフレットを配布した。 なお、この間、連絡会は「第3次男女共同参画基本計画に盛り込むべき具体的施策に関する提案(2010年8月)」、「元気な日本特別復活枠」要望に対するパブリック・コメントとして「性暴力被害者に対する支援体制構築事業(2010年10月)」、そして、2010年日本女性大会の決議と特別決議(2011年1月)を、政府関係機関に提出している。 連絡会における委員会活動では、休職者支援、年金、職の安全と安心、TPP、憲法とジェンダーなどについて集中セミナーや勉強会が開催されている。 国連NGO国内婦人委員会 この会は、1975年に結成され、国連憲章にのっとり、女性の立場から国連に協力することを活動の目的としている任意の女性団体であり、結成以来、国連総会の日本政府代表に民間女性を推薦している。現在、10の団体会員と20名の個人会員で構成されており、当協会は団体会員の一つである。 第65回国連総会政府代表に委員会から推薦された亜細亜大学教授篠原梓さんが決定したことから、外務省総合外交政策局人権人道課長を招いて、国連総会の主要議題についての説明会を兼ねた辞令交付の会(2010年9月)と篠原さんの帰国後に、再び、外務省総合外交政策局人権人道課長を招いての第65回国連総会報告会(2010年12月)とが婦選会館において催された。なお、報告会では、国連の女性関係機関を統合したUN Womenの執行理事国選挙があり、日本はアジア枠から3年任期で選出されたこと、死刑のモラトリアムに関する決議を107の多数で可決し、死刑の問題を2年後に取り上げることになったことと多くの先進国が死刑制度を廃止し、あるいは、執行を控えている中で、日本はアメリカ合衆国、ロシアとともに「特異な」立ち位置にあるという篠原さんの指摘は、国内のメディアにおいても伝えられていたが、全体として国連総会の活動状況についていかに日本国内に伝わっていないかを自覚させる貴重な報告会であった。篠原さんは、第3委員会に関する報告として、毎週、報告書(最終的にはA4で24頁)を委員会宛に送っており、その責務の大変さをつぶさに伺うことができるものであった。 委員会では、次回第66回国連総会政府代表団参加候補者の推薦について、9月来、検討しているが、2月末段階でまだ、確定していない。2ヶ月あまり、ニュー・ヨークに滞在し、適切なタイミングで日本に関するステートメントを述べるなどの責務を果たすという要件を満たす人材を探すことは、社会的に活躍する女性が多くなった故に、却って大変むずかしくなっているようである。 委員会が中心となって行っている日本・アラブ女性交流事業については、 2000年と2010年を担当した日本看護協会が、2010年12月に日本・アラブ女性交流事業に関する報告会を婦選会館で開催し、当協会から、原副会長と紙谷が出席した。 日本・アラブ交流事業 この事業は、1996年、ヨルダンのバスマ王女の提案により始まり、外務省の支援を受け、2010年7月まで25回の相互訪問と交流が実現している。前回の他団体との交流においても述べたが、2011年度(2011年7月以降)実施される第26回は当協会が担当予定である。 日本看護協会の報告会では、共通テーマの重要性、外務省支援授業であることの煩わしさやむずかしさ等、2011年度担当の当協会にとって参考となる情報をたたえることができた。関連して、2011年1月の幹事会で日本・アラブ女性交流事業に関する担当委員会を幹事会とは別に設置すると決定した。今後、この委員会が中心となって、情報収集と企画、運営をする予定である。(ヨルダン、エジプトとシリアが2011年秋以降に予定されている訪問対象国であるが、現在の、中近東北アフリカにおける政情不安が事業実施にどのような影響を及ぼすことになるのか、現段階でははっきりしないことが多い。) (文責・紙谷雅子)

相続時精算課税制度について 民法上の観点から

2011年11月9日 萩谷 麻衣子(弁護士) 相続時精算課税制度・・・ 将来相続関係に入る親から子への贈与について、贈与時に軽減された贈与税を納付し相続時に相続税で精算する制度であり、2500万円までは贈与税を課税せず、2500万円を超えた部分についての贈与税も20%に軽減するとの特例。 高額の資金や、特定の子に承継させたい財産について、低額の贈与税で生前に承継させることができる。 大型贈与であっても、2500万円を超える部分については贈与時に20%の贈与税を負担すれば生前贈与が行えることから、親から子への事業承継の手段として利用が可能である。 相続時精算課税制度利用時に考慮すべき民法上の問題点: I 生前贈与としての特別受益 (1) 相続時に持戻しの対象となり得る。 【総論】 一般論として、生前贈与が持ち戻しの対象となるか否か、及びその評価については、遺産分割の実務上、必ずしも明確ではない場合が少なくない。例えば、生計の資本としての贈与、学費、結婚費用などは、そもそも生前贈与に当たるか、当たるとしてもどのように評価するかについて、明確な基準がなく、多くの場合、実務上紛争となっている。これに対して、この相続時精算課税制度を利用する場合は、受贈者自らが「生前贈与」と認めて税務申告するのであるから、生前贈与として持ち戻しの対象となることは相当明確であると言える。 【各論】 A 生前に贈与を受けた額が大きい場合は、遺産分割時に新たに取得する遺産がなく、相続税納税資金に苦慮する場合が生ずる。 B 特に事業承継の意図のもとに生前贈与をする場合は、上記の問題点を考慮し、持戻しの免除の意思表示も合わせて行っておく必要があるのではないか。但し、裁判上、持戻免除の意思表示の推定を認定されるケースも少なくないので、持ち戻しせずに取得できる場合も出てくるのではないか。 C 相続税額を少なくするため、相続開始後に生前贈与を受けた財産の一部を放棄し、他の相続人に取得させることはできるか。 → 仮に出来るとした場合、税務上はどのような取り扱いになるか D 特別受益の評価基準は相続開始時の時価評価。生前贈与を受けた財産の税法上の評価額は生前贈与を受けた時点を基準とする。そのため、相続開始時に価値の大幅下落が生じていた場合、生前贈与を受けた場合の方が、全部を相続で取得する場合より、トータルの税額は高額になる可能性がある。 E 上記Dの場合にも、遺産分割における持ち戻し額を決定するに当たっては、生前贈与財産も、相続開始時の時価で評価するのではないか。そう解釈しないと、公平が損なわれるが、そうなるとこの場合は、生前贈与額について税法上の評価と民法(相続法)上の評価が異なるのではないか。 (2) (持戻免除が認められない場合でも)相続時精算課税制度により生前贈与を受けた者が相続放棄をした場合、受贈者より贈与財産を持ち戻すことはしない。生前贈与を受けてあとは相続放棄をしてしまえばプラスの財産だけ承継できることにならないか。相続人が受贈者以外にいない場合は、被相続人の債権者との関係で問題ないか。受贈者以外に共同相続人がいる場合は、遺留分を侵害するのに持ち戻しもせず代償金も支払わず、という処理となっていいのか。この扱いは、?Aの最高裁判決と整合性がとれるのか。 (3) 相続時精算課税制度を利用して生前贈与することが詐害行為になり得る可能性。 II 遺留分との関係 A 民法903条1項の定める相続人に対する贈与(特別受益)は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済的事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、民法1030条の定める要件(相続開始1年前の贈与、遺留分権利者を害することを知っておこなった贈与)を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となるものと解するのが相当である(最三小平成10年3月24日)。 よって、相続時精算課税制度で取得した財産についても、遺留分の制限を受けることになり得る。 ※遺留分算定の基礎となる財産の評価:相続開始時の時価評価 B 持戻し免除の意思表示がある場合において、遺留分を侵害する贈与の場合は、遺留分権利者の減殺請求により、侵害の限度で効力を失うと解される。 ※被相続人が民法903条1項所定の贈与について持戻免除の意思表示をしていても、被相続人の意思には関係なく、右贈与を遺留分算定の基礎財産に算入すべきことになる(大阪高判平成11年6月8日)。 C 相続時精算課税制度を用いた生前贈与について、遺留分算定の基礎として加算することになるのか。 仮に、この制度を利用して生前贈与をすることにより、代償金の支払いをせずに現物を取得できることになるのであれば、このようなアドバイスを専門家がすることの問題はないか。